【書評】日本人の勝算 デービッド・アトキンソン著

どうも自分3.0です。自分3.0@親のすねかじり投資家 (@jibun2030) | Twitter

 

デービッド・アトキンソンの「日本人の勝算」を読んで考えたことをまとめておきます。

 

内容はこれから、少子高齢化がすすんでいく日本では生産性を高めていかなくてはいけない。では、どう高めていくか?という内容です。

 

まず日本では少子高齢化が進んでいき、デフレも進んでいきます。なぜなら、

①人口が減ると需要が減る、

②高齢者はお金を使わないので需要が減る、

③高齢者はインフレを好まない(稼ぐことができないので資産が一定で物価が上がるのは困る)ので、高齢者が多くなるとインフレ政策をしにくい、

④生産性の低い仕事が増える(人手のかかる介護など)、

⑤高齢者が老後の生活費に充てるため外国資産を売却するため円高が起きる

さらに、人口が減ってもお店の数はすぐ減らせないので価格競争の激化や外国人労働者の増加で単純労働の時給の低下などデフレ圧力がこれまでになく、また世界中を見渡し手も類を見ないぐらい強い状況です。

 

このような状況でも社会保障費は年々増加し、2018年では1人1時間の労働当たり817円の社会保障費の負担なのが、2060年には2156円になると予想されています(p213より)

 

ではどのようにこれから日本を経済成長させるかというと、人口が増加しない状況では生産性の向上しかありません。ではどのようにして生産性を向上させるのでしょうか。そのためには「よりよいものをより安く」の価格競争から、「より良いものをより高く」の高付加価値・高所得経済に移行するするしかありません。どうすれば移行できるのでしょうか。

 

①海外市場を目指す

需要が人口とともに減少していく日本の中だけで勝負をしていると、必ず価格競争に巻き込まれます。そこで新たな需要を求めて海外市場を目指します。例えば観光産業であれば国内だけをターゲットにしていては必ず需要は減っていきます。そこで海外をターゲットに観光客を呼び込みます。

 

②企業規模の拡大

企業規模と生産性には相関関係があります。中小企業を減らし、企業規模を拡大することによって、生産性が高まります。すでに金融業界(銀行)や石油業界では再編が進んでいます。

最近の銀行の合併を知るには - 全国銀行協会

石油元売り、大手5社→3社に統合へ :日本経済新聞

 

最低賃金の引上げ

最低賃金の引上げも生産性の向上に効果があります。最低賃金を引き上げると最低賃金を払うことができない生産性の低い企業が倒産し、今まで労働していなかった主婦などが労働に参加するようになり、また、高所得者の年収を増やすよりも、最低賃金付近の時給で働いている人の時給を上げる方が、需要を喚起するようです。

先行事例として、イギリスの例が挙げられています。

 

【自分たちにもできること】

上記、ほとんど経営者や政治家にしか対応できないことが本には書かれていませんでしたが、自分たちにもできることを考えてみました。

 

①海外に向けての情報発信

観光地の運営はできなくても情報発信はできるのではないかと思います。例えば地元の観光地に客があまりいない状況でSNSなどで情報発信をし、海外の人が地元の観光地を巡って、お金を落としてくれれば地元の経済に貢献したことになると思います。

 

②企業規模の大きい会社の転職

今勤めている会社が中小で労働時間も長く、給料が低い場合は転職を考えてみる。規模が大きい会社の方が休みも取りやすく、給料もいいのであれば積極的に転職する。会社として、転職されて事業が回らなくなればいけないので、生産性を上げて労働者の待遇を上げることを考えるようになるはずです。

 

③生産性を高めるために必要なスキルを身に着ける

生産性を高めるためのスキルやITツールの使い方をマスターするために自己投資をします。本の中では、「経営者が投資して強制的に人材育成をすべき」と書かれていますが、いきなり会社が投資してくれることはないでしょうから、「必要な知識は自分自身で身に着ける」という心構えも大切だと思います。

 

まず自分ができることからはじめて、国全体の生産性を上げようと思える本ででした。

 

なんか話がでかくなりましたね。

 

それでは。